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合成音声の音楽に、言の葉を捧ぐ:詩的なボカロ曲レビューサイト

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

Rulmry.「Swingy Lady Satisfaction」

明るくジャジーに押しまくる強気のポップチューンだ。ピアノにドラムに管楽器にと、さまざまな楽器の奏でる音がひとつの空間にはじけるとき、爆発的な音楽の魔法がかかる。そしてそこに華やかな色を添える、自由奔放な歌姫の存在も。さあ楽しいショータイム…

ondo「One 2nd」

Lo-Fiホップの調子のある、アバンギャルドなトンデモポップだ。とどまることなく変転しつづける自分という存在は、過去に束縛されるものでもなければ、未来に拘束されることもない。あるべき未来をあらかじめ想定して、そこから逆算した現在が、最先端であっ…

濁茶「かぶける自由」

リズミカルにはちゃけたトンデモポップチューンだ。いまここにある自由なる精神世界を、現実や社会なんてお題目で束縛する理由はなんにもない。僕はどこまでも僕であって、他の誰でもないのと同じように、私にとっての世界は、私にとってだけの世界なのだ。…

可ラッカ「おやすみ」

草原のような渇いた音響に、合成音声の歌声が響きわたる、伸びやかなギターロックだ。今日を生きた自分と、明日に生きる自分の狭間にある、眠りとは不可思議なものである。生活に疲れた身体と意識をオフにして、それがふたたびオンになったとき、そこにいる…

Lo-+「TRO」

どことなくLo-Fiホップの調子のある、歌ものエレクトロニカだ。たしかにそこにあった自分という生命が、いままさに失われてゆく。その刹那にとめどなく流出してゆく残像。たとえ苦しみがなくとも、それはどこまでも切ないものであろう。もうよみがえることは…