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合成音声の音楽に、言の葉を捧ぐ:詩的なボカロ曲レビューサイト

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

あしかかもしか。「training!」

きらめくような性急さを感じさせるエレポップだ。まだ見ぬ何者かへと生き急がされる一方で、どこまでもゆっくりした時間のまだるっこさと。その狭間でますます高まっていく焦燥感が、ここにはよく落とし込まれている。それは青春のリアルというよりも、回顧…

mayoi「マーメイド」

水槽入りのタグがよく似合う、たゆたうような歌ものポップスだ。ただここで題材とされているのは、ゆれうごく恋愛感情ではない。そもそも人はなにがしかの自画像を、心の鏡に投影して、そこに映しだされた振りつけによって日々を生きている。しかし時にそれ…

みそ「青の洞窟」

水槽入りのタグがよく似合う、透明感のあるエレクトロポップチューンだ。人は誰しも、その内面にひとつの世界をもっている。自分しか知らないその反響を、夢心地に反芻してゆくような音楽であろうか。ここでは喪失の悲嘆もまた、どこまでも純化され美しい。…