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合成音声の音楽に、言の葉を捧ぐ:詩的なボカロ曲レビューサイト

西島尊大「SOMNIA」


どことなくフュージョンの調子のある、お洒落なポップスである。しかしその喚起する感情は、どこまでも儚く甘酸っぱい。鮮やかな記憶の夢に、目の前の光景はモノクロへと色あせてしまう。ただひとつ言えることは、あの過去があればこそ、いまここに私はこうして存在しているということだ。それはあたかも生きた墓標だったとしても。未来への希望は、過去のうちに織り込まれてしかないのだから。(utakiki)