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合成音声の音楽に、言の葉を捧ぐ:詩的なボカロ曲レビューサイト

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

いよわ「頬が乾くまで」

ゆるふわとした雰囲気のうちに、棘のある優しさの感じられる、不協和音ポップチューンだ。とある都市の片隅に埋もれた、ある渇いた生きづらさを濡らしてゆくように。そしてその如雨露を手にしているのは、暗がりの夢想のうちにある、もう一人の自分なのだろ…

Sebon「*スノウフレイク*」

爽やかな淡いポップチューンだ。それは次元の壁に隔てられた、身近なアイドルのように、遠くて近い距離感を連想させる。思わせぶりな仕草に、何の意味もなかったとしても、それはある解釈を生みだしてしまう。そして応答と、またその応答と。連鎖反応で転が…

いよわ「熱異常」

切迫感のただよう不協和音ポップチューンである。未来の予感に脈打つ動脈と、早くもかすみつつある視界、そして無闇に加速しながら空転する思考回路。つまりは流血と惨事の数秒間の時間の速さを連想させる楽曲だ。そしてたたみかけられる歌唱とともに、その…

鈴木凹「言葉には戻れない」

雨だれの波紋を描く湖面のように、淡い音響の心地よい、歌ものエレクトロニカだ。感情のままに流露した言葉が、そのまま歌となる。それはある修練をへた感性にしかなせない業であろう。だとするとこの楽曲は、その到達した境地を、音楽的に表現したものかも…

馬車馬カエデ「Pentaprism」

爽やかに軽やかなポップチューンです。そして音楽のある生活の楽しさ、目に映るもの・肌に感ずるものを慈しむことの大切さ、そうしたことを無理なく伝えてくれる。ぐるぐるまきの憂鬱を、たどっていてはたどりつけない、すぐそこにある理想郷のような。つま…