エレクトロの調子のある、微妙によれたポストパンクであろうか。死者との交信という主題は暗い印象があるが、ここでは黄昏のような残照が、どこまでも影をさしている。時空間にとらわれた生者と、その逆再生としての死者。その奇怪な交錯を描き出し、それを…
ぼっちに舞いおりた、メロウな夜のポップスであろうか。ひそやかな願いと、優しい冷たさと。昨日とは色合いの違った明日への扉を、惜しみつつも開けはなつような、爽やかなセンチメンタルが心地よい。人生とは、いつだってそんなものだろ…… とでも言うように…
【推敲中】エレクトロニカの調子のある、淡くて甘いポップスだ。人には誰しも、人に知られぬ、密やかな願いがあるものだろう。たとえば外的な視線の枠にはめられた自意識が、まろやかに溶けてしまう刹那の喜びや。あるいは愛しい人の手をとって、はるか彼方…
晴れやかに恋に浮ついた、リズミカルな冬のポップスだ。それにつけても、恋愛とは不可思議なものである。ありふれた日常の光景の色合いが、ある他者の存在ひとつでまったく変わってしまう。風に吹かれた木漏れ日のぬくもありが、こんなにも暖かだったなんて…
爽やかに寂しげな、歌ものポストロックである。君のいなくなった街で、花は咲き、そして散る。その代わり映えのなさにいたたまれなくなった、僕もまたここを離れよう。そうしたある巣立ちの歌であろうか。あてどない人生という旅の途中へと、放浪に誘うよう…
優しい音色の歌ものエレクトロニカだ。ささいな波紋に感情が揺れること、世界がそこに投影されてあること。それは代わりようのない、生命のあかしだ。たとえ非実在の存在であったとしても。自分は自分でしかなく、他者は他者のまま、やがて別離のときがくる…
ここではないどこかへと空想を誘う、民族調のエレクトロニカだ。それはファンタジックというよりも、逝きし代の精神世界への憧憬とでも言うべきであろうか。しかし継ぎはぎされた過去のモザイクは、同時に無意識の未来でもあるかもしれない。まったく内面へ…
すべての悔恨をあらい流してゆくような、爽やかなギターポップだ。ここにある孤独な人間が、それでも世界に生きようとするとき、他者としての声が必要になることがある。なにがあっても、僕はキミの味方だよとささやいてくれるような。自意識のない合成音声…
どことなくフュージョンの調子のある、淡くもダウナーなポップスだ。こんなモノクロの世界で、ばらばらになってしまった。いまさらに思い知ったのは、君が存在してこその、僕であったということ。しかし君にとってはどうなんだ。つのってゆく不安と疑心。そ…
鉱石のように美しい、ポストロックの歌ものである。芸術の求道のはたてにあるものが、インターネットに投影された怪物であったとしても、そこにすべてを捧げてやる。さあ美味しく僕を喰らってくれ。そして僕はお前の夢となるだろう。それは希望ではないが、…
どこまでも軽やかにリズミカルなポップチューンだ。まだ空想でしかない恋の予感。それをいまに成就しても不思議でないと信じきっている、あの無邪気な感覚。まだ運命の分かれ目とまでゆかない、一歩手前のゆるふわがひたすらに心地よい。例えばバスルームで…
明るくジャジーに押しまくる強気のポップチューンだ。ピアノにドラムに管楽器にと、さまざまな楽器の奏でる音がひとつの空間にはじけるとき、爆発的な音楽の魔法がかかる。そしてそこに華やかな色を添える、自由奔放な歌姫の存在も。さあ楽しいショータイム…
Lo-Fiホップの調子のある、アバンギャルドなトンデモポップだ。とどまることなく変転しつづける自分という存在は、過去に束縛されるものでもなければ、未来に拘束されることもない。あるべき未来をあらかじめ想定して、そこから逆算した現在が、最先端であっ…
リズミカルにはちゃけたトンデモポップチューンだ。いまここにある自由なる精神世界を、現実や社会なんてお題目で束縛する理由はなんにもない。僕はどこまでも僕であって、他の誰でもないのと同じように、私にとっての世界は、私にとってだけの世界なのだ。…
草原のような渇いた音響に、合成音声の歌声が響きわたる、伸びやかなギターロックだ。今日を生きた自分と、明日に生きる自分の狭間にある、眠りとは不可思議なものである。生活に疲れた身体と意識をオフにして、それがふたたびオンになったとき、そこにいる…
どことなくLo-Fiホップの調子のある、歌ものエレクトロニカだ。たしかにそこにあった自分という生命が、いままさに失われてゆく。その刹那にとめどなく流出してゆく残像。たとえ苦しみがなくとも、それはどこまでも切ないものであろう。もうよみがえることは…
ポップミュージックの普遍的な美をすくいとったかのような、オルタナ調のバラードだ。君がいなくても、なにも変わりようのない世界のありよう。でもこの心のスクリーンには、まったく異なる景色が映っている。例えばあの電信柱が突然歪んで見えるような。だ…
でこぼこな疾走感のある、ローファイなよれよれポップチューンだ。ふだんの生活ではそれと意識しなくても、暮らしの裏に息をひそめている非常事態。その急転直下に切り替わるタイミングをとらえた音楽であろうか。個人の感情にはお構いなしに襲ってくるそい…
冷たい痛みのある、淡い歌ものエレクトロニカだ。病床というメルヘンで、融解してしてゆく世界。身体という絆で結びついていた、貴方という存在もまた、それにつれこぼれ落ちてゆく。これが人生の結末なのだろうか。そんな疑念すら溶けてしまう、甘美なる死…
思わずスキップしたくなるような、リズミカルなポップトロニカだ。天気をみまもる生活は、この大都会のうちにあっても、私たちは自然とともにあることを実感させてくれる。そしてここに生きている、人ならざる幾多の生命の存在にも。でもこのとりとめのない…
爽やかに甘酸っぱい歌ものポップスだ。ある他者の不在が、ぽっかりと心に空けてしまった、けして埋まりそうにない穴がある。やがてはこの空虚と失くした耳飾りだけが、貴方との結びつきの記憶となる。それをどこかで予感しながらも、いまはひたすらに踊って…
清廉にイノセンスなエレクトロトランスである。あなたには見えないもの、それはわたしだけの感情の機微であろうか。ちょっとした表情やそれとない仕草を、他者はさまざまに解釈してくれる。しかしそれすらも見られるための表現ではないと、いったい誰に言え…
エレクトロニカな音響の、淡いイノセンス音楽であろうか。またはメロディのあるポエトリーか。ゆっくりとすぎる時の流れに、内面の独白がとりとめもなく折り重なる。それは空間と戯れている、ひとひらの羽毛のようだ。孤独でありながら、どこまでも自由であ…
アンニュイでありながらメロウでもある、ダウナーなポップブルースだ。世界と精神の調和の崩れたとき、どう人はそれを表明したらよいのか。なにをやっても爪はじきに遭うだけだとすれば。しかし世界からの逃走は、同時に闘争でもある。そして私の遺体は、と…
どことなくエレクトロニカの調子のある、歌ものロックポップだ。青春の絆によって結びついた、聖化されたイマジナリーフレンドの残像。別れるべき時はとっくに過ぎ去って、さかしまに離れられなくなった。でも僕はもう、君を十字架にかけることにしたよ。い…
爽やかな夜のシティポップだ。あたかも映像のような大都市の無機質と、そこを高速で移動する感情の有機体と、すべてを濡らしてゆく冷たい霧雨の自然と。そして融解してゆく日常のリアリティ。しかしそれは夢幻ではなく、どこまでも現実の地平を走り抜けてゆ…
エレクトロニカな音響の、柔らかいポップソングである。まるで地面を叩く雨垂れのように、大小のいざこざはやまないけれど、それでいて全体は大きなハーモニーに包まれている。あるべき世界が、あるようにある。この天地とともに。そんな感覚に導いてくれる…
サイケデリックなギターの音色がたまらない、酔いどれのロックポップだ。酩酊に溺れていれば、人生の悩みも、生活の憂さも霧消してゆく。それでなにもかも台無しにしたところで、自己責任と言ってくれる優しい時代じゃないか。誰もオレの心配なんてしやしな…
冷たく硬質なエレクトロニカである。例えば鍾乳洞のような地下世界を、さらなる深度へと、ひとり探究してゆくような。それでいて孤独感はない。より大きな存在に包まれ、幻惑されてゆく感覚がある。鉱石とは、人をこうした世界に導くものなのだろうか。思わ…
明るくリズミカルなエレクトロポップだ。それでいて日の翳るような憂愁感も、そこはかとただよっている。かわり映えのない日々の生活と、こんな暮らしはいつまでもつづくものじゃないという感覚と。別れてしまえば、それは別れになるが、別れるまでは別れで…