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合成音声の音楽に、言の葉を捧ぐ:詩的なボカロ曲レビューサイト

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ぐとら「Ace」

透明感のある音響に、まろやかな音色の響きわたる、ポップエレクトロニカだ。幾多の生命がまるで泡のように、生まれてはかつ消えてゆく、この大自然の神秘に溶けこまれてゆく感覚。この宇宙にあっては、僕もそうだし君もまた、いつ失われても不思議ではない…

ゲロゲー「Ⅰnswing」

ダウナーにして流麗なジャジーポップと言えようか。アコーディオンの音色も、艶やかな徒花を添えている。なんらの意味を見いだし得ぬ実存であっても、命ある限りは、人は踊りつづけなければならない。ただ死を弄ぶだけの絶望であっても、感じ方次第では生き…

こえだ、「アンサー」

ローファイな音色のよき、エレクトロニカな質感のポストパンクであろうか。往々にして人とは、自らの実存のうちに、意味を求めてしまう存在である。しかし生きるときは生きるし、死ぬときは死ぬ。それだけの話に、模範解答なんてありはしない。ただ自分なり…

鈴木凹「GOD ONLY KNOWS」

精神世界の投影されたアンビエント音楽といってよいだろうか。どれほど不条理にあふれていたとしても、そのままの世界をひたすらに肯定したい、祈りにも似た音楽である。世界のうちなる自分も、自分のうちなる世界も、ありのままにあるしかないのだから。そ…

古閒かもめ「夜のレジーナ」

青春の一コマを描いた、しっとりとした夜の歌もの。それでいてローファイな音色が、もう忘れたはずの傷心を思い出させてくれる。夜明けとともに離れ離れになって、それぞれに生きてゆかねばならない世のなかを、予感しながらうけとめている。やさしさのうち…