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合成音声の音楽に、言の葉を捧ぐ:詩的なボカロ曲レビューサイト

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

鈴木凹「アイソレーション・レシーバー」

【推敲中】エレクトロニカの調子のある、淡くて甘いポップスだ。人には誰しも、人に知られぬ、密やかな願いがあるものだろう。たとえば外的な視線の枠にはめられた自意識が、まろやかに溶けてしまう刹那の喜びや。あるいは愛しい人の手をとって、はるか彼方…

ondo「Darling」

晴れやかに恋に浮ついた、リズミカルな冬のポップスだ。それにつけても、恋愛とは不可思議なものである。ありふれた日常の光景の色合いが、ある他者の存在ひとつでまったく変わってしまう。風に吹かれた木漏れ日のぬくもありが、こんなにも暖かだったなんて…

白晝堂々「 Y字路のあいつ」

爽やかに寂しげな、歌ものポストロックである。君のいなくなった街で、花は咲き、そして散る。その代わり映えのなさにいたたまれなくなった、僕もまたここを離れよう。そうしたある巣立ちの歌であろうか。あてどない人生という旅の途中へと、放浪に誘うよう…