vocanoha

合成音声の音楽に、言の葉を捧ぐ:詩的なボカロ曲レビューサイト

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ikomai「えゔぁぐりん」

ローファイな音色のよき、陰翳のある歌ものポップスだ。人は誰もみなこの世界に共存しながら、各々の情景のうちに生きている。たとえば子を想う母と、明日を想う子のように。しかしそれはバラバラに存在するわけではなく、それぞれの情景が折り重なることで…

来世は鯨になりたい「ハイウェイヒュプノシスト」

エレクトロな音響の心地よい、ポストロックのポップチューンだろうか。人恋しさの加速する夜のハイウェイ。過去であると同時に、未来でもあるような空間を、夢想は走り抜けてゆく。あたかも時間が融けてしまったかのように。夢がかたちとなり、かたちが夢と…

schoolmizzy「CURE」

ローファイな雰囲気も心地よい、ダウナーな歌ものミックホップだろう。治癒すると同時に色あせていった、過去の自分とその記憶。しかしある触媒にふれると、時間は振りだしに戻ってしまう。ゆきつくところは分かっていても、逃れようもなく引き込まれてゆく………

NaR「White Light / Blue Light」

静謐な音響がノイズを引きたてるオルタナティブロックだ。それは洞穴の暗がりのうちに、今にもたち消えそうな灯を想わせる。しかし人生という照明は、いつでも消えそうでいて、容易に消えるものでもない。だからこそ苦しみはつづくが、同時に希望ものこる。…