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合成音声の音楽に、言の葉を捧ぐ:詩的なボカロ曲レビューサイト

油屋大繁盛「だいなし」


よれよれなローファイ加減のよき、現代の歌ものフォークと言ってよいだろうか。こうあるはずだった日常と、こうなるしかなかった現実との、埋めようのない齟齬を、何食わぬ顔で踏みこえながら、人は生きてゆかねばならない。しかしその齟齬は消えるわけもなく、ふと生活のノイズとなって残響する。その感覚をよく投影した楽曲である。心の軋みの音がする。(utakiki)