vocanoha

合成音声の音楽に、言の葉を捧ぐ:詩的なボカロ曲レビューサイト

ゲロゲー「ハ・サ・マ」


暗く密やかなエレクトロニカの歌もの。燃えさかる熱をうちに秘めながらも、あくまで肌触りは冷たく、それはある種の鉄器のようだ。この想念に映しだされた世界と、手に触れる現実そのものと、その境界を彩るささやかな祈りと。この楽曲には、その想念と現実との狭間に咲いた徒花のような、不思議な艶っぽさがある。あたかも世界が溶けつつあるかのように。(utakiki)